菊花賞 これまでの勝ち馬の競馬から

去年の秋を考えると、淀の3000mは走ってくれることすら想像できなかった舞台。
そこへオルフェーヴルが出走してくれそうなこと自体が有り難いこと。とにかく無事に出走して欲しいと思います。
世間では3冠ムードですが、何と言ってもこれまでとは全く違う淀の3000m。いくら強くても(そう思われていても)、折り合いを欠けば、あるいはロスが大きければ、勝てないのが菊の舞台です。そういう意味では、3冠をというよりも、有力馬の1頭として淀の3000mにチャレンジする立場だと思います。今日の朝刊の吉村助手のコメントにもありましたが「いかにうまく立ち回るか」。


何度か紹介していますし、神戸新聞杯前後の池江師のコメントにもありましたが、菊花賞は基本的に前々で競馬できる馬が強い舞台(もちろん中段からでも強い競馬で勝つ馬はいます)。過去10年、4コーナーで8番手以降の馬は勝っていません。

このところ逃げ先行馬が穴を開けるケースが多く、去年も圧倒的に強い競馬をしているローズキングダムが先行したビッグウイークを捉え切れませんでした。
以下は過去10年の勝ち馬の「4コーナーでの位置取り」です。
6番手−2番手−1番手−2番手−7番手−8番手−2番手−2番手−4番手−2番手


ディープインパクトが7番手、菊花賞では珍しい追い込みを決めた(ただしレコードの出るペース)ソングオブウインドが4コーナーでは8番手ですが、その他はほとんどが直線向いたときにはすでに先段の位置取り。
菊花賞は3000mと距離十分、さらに京都の外回りで直線は長く、後ろの位置取りからでも届く」と思われがちですが、過去10年の勝ち馬うち、7年が4コーナーでは4番手以内の位置取りでした。
つまり、あえて大げさに言えば、直線向いた時点ではすでに大勢は決していて、あとはそれが多少入れ替わる程度。

後述の3冠馬ナリタブライアンディープインパクトは4コーナー、5〜6番手から爆発的な脚を炸裂させて前を捉えきっていますが、実は道中も6〜7番手でロスのない競馬をしてのものでした。
両馬の菊花賞に共通するのは好枠から好発進。道中は7〜8番手からの競馬で、普段の差し追い込みとはひと味違う位置取り。最後の4コーナーこそ、内から2〜3頭目を回りましたが、それまではロスのない道中。

とくにナリタブライアンは好枠から素晴らしいスタート。さらに、最後の3コーナーまでの道中はインコースをピタリと走るロスのない競馬。前が大きく離して逃げる展開でヒヤヒヤしたと思いますが、道中は慌てずずっと7番手のインを自分のペースで溜めていました。
これが重要だと思います。直線で鮮やかな脚、爆発的な末脚を出している部分ばかりが印象に残りますが、それ以上に大切なのは、両馬とも道中はインでじっくりと脚が溜められていたという点。
時代を代表する二頭の三冠馬でも、この淀の3000mという舞台ではそういう競馬をしているというのは非常に大事なことだと思います。ナリタブライアン菊花賞は本当に、「好枠、好発進から折り合って、ロスなく自分のペースで馬の力を信じて最後の脚を溜めきる」という競馬の典型でした。
今回も同じような競馬ができれば理想ですが、オルフェーヴルの場合はハミを取りたがる気性だけに、やはり「折り合い」が最優先になります。折り合い最優先で中段からの競馬になるのなら、さらにロスなく溜めきることがが大切になってくるでしょう。
しかも、今回は、早めに動く、途中から動いていくと言っている陣営が多くいます。ますますじっくりと自分のペースでロスなく溜めきることが重要になると思います。

(続きます)