皐月賞 ゴールドシップとワールドエース 内と外

戦前の予想では強い馬が数頭いて、馬券的には非常に面白かった今年の皐月賞
オルフェーヴルと同配合のゴールドシップと、オルフェーヴルと同じ池江厩舎・森澤さんが担当するワールドエースで決着。
結果的には混戦ではなく2頭が抜けていたレースになりました。
まさかこの2頭で決まるかなぁと思いつつ、オルフェーヴルつながりの2頭だということで一点だけ買って少し儲かりました。ほとんど馬券を買わないだけに、ありがたいことです。
でも、本当にステイゴールド×メジロマックイーンの配合が勝つとは……。そして、森澤さんの担当馬がこうして二年続けてクラシックの主役になるとは……さすがだと思います。おそらくワールドエースはダービーでの本命になるでしょう。


常々、私は競馬はいかに内を回るかだと書いてます。しつこいくらい同じことを繰りかえしています。
馬券ではなく、一口ではとくにそうです。3着以内だけではなく、一つでも上の着順になることが重要な一口では、たとえ時には前が詰まる事態になったとしても、トータルすれば内を回る方が確実に良い結果が出ます。
ロスしてでも追い込む競馬は、決まれば強く見えるし鮮やかですが、トータルで見ればそのロスは確実に結果に悪影響を及ぼします。


しかし、これは普通の馬場での話。
今日の中山のような、かなり特殊な、内外で状態に大きく差がある馬場の場合は別です。当然良い馬場を通る方が良い結果になる。それがセオリーでした。
しかし、1頭だけ内目を回ったゴールドシップが、かなり余力を残して直線に向いて、力強い脚で瞬時に抜け出し。
一方、一番外を回ったワールドエースは最後まで伸びてはいますが、ゴールドシップに余力と脚が残っていたため届きませんでした。
セオリーより、いかに現実的に外を回るロスが大きく響くかということが表れた競馬でした(もちろん、ゴールドシップのあの脚を見ると馬が強いからあの脚を出せたのですが)。

今日の内田騎手のインタビューです。
「スタートは良かった。でも仕掛けたらずっと大外を回されそう(14番枠ですからね)。いくらこの馬場だとはいえ大外はロス過ぎると思って、下げて乗った」

このインタビューの通り、ゴールドシップは外枠でしたが、いったん最後方に下げて内目にもぐり込みました。ただ単に後方に下げたのではなく、下げることによって内に入ってロスをなくす選択をしました。そして最後も、馬場とロスのない競馬、秤にかけて、ロスのない競馬を選択しました。結果、直線に入ったときの余力が他馬とは段違いでした。


競馬はコーナーを回る競技。
よほどのことがない限り、いえ、よほどのことがあった場合でも外を回るロスを克服するのは難しいということでしょう。
今日のような馬場でも、そのロスと引き替えにして得られたものは、経済コースを通るメリットには敵わないわけですから、内外イーブンの馬場や、やや外が伸びる程度の馬場ではいわずもがなですね。

ちなみにゴールドシップはロスのある競馬で惜しい負けを繰りかえしていた馬です。内田ジョッキーに乗り変わってロスなく乗られて2連勝。ステイゴールドらしい成長力ももちろんですが、わざわざロスのある競馬をしないというのも大事なことだと思います。
私は、とにかくロスなく乗ってくれる騎手が大好きです。

それでも「時々」鮮やかに決まる外からの差し切りに目を奪われて、「常々」ロスが響いて着順を落としていることを忘れてしまうのも競馬の良さ……ですね。