オルフェーヴル 凱旋門賞に向けて 〜 スミヨン騎手 初騎乗

オルフェーヴルに初めてスミヨン騎手が騎乗(月曜日)。追い切りは水曜日の予定なので、まずは軽いキャンターで手合わせ。いきなり追い切りに乗るよりも、こうして細心の注意を払ってもらえる方が安心で、とても感謝しています。
新聞によると、スミヨンJの感触も良かったようで、リラックスしているし、とくに気難しいところは感じなかった、とのこと。ただし、「速いところをやってないので、まだわからない。コーナーや速いところでどうか」とも。その通りだと思います。


スミヨン騎手は間違いなく上手いですし、ロンシャンを知っているという意味ではこれほど心強いパートナーはありません。
ただ、我が家の希望は『アクシデントなく無事に走り終えること』。これに尽きます。
もちろん競走馬には勝負すべき時があって、それが今回の挑戦なのでしょう。そして、一つの賭にはリスクが付きもの。安全によりも、ここは勝負のレースなのでしょう。多くの努力とリスクを背負って最高峰に挑戦するわけですからそれはよく理解しています。
それでも我が家の希望は、『アクシデントなく無事に走り終えること』。
これまで何度もひやっとしたオルフェーヴルだからこそ『アクシデントなく無事に走り終えること』。
とにかく『無事にアクシデントなく走り終えて無事に帰ってくること』。


調教で乗るのと競馬場のテンションで乗るのとは違います。
掛かってレースを壊す心配もあるし、実際に二度も騎手を落としてるし、1頭だけ押し出されればあの逸走……こんな馬はそうはいません。
一度だけならまだしも、三度も事を起こしてるわけです。気性が難しいと言われる馬でも、一度あるかないかでしょう。それがすでに三度。競馬場に行っての気性が尋常ではないことは、レースで1頭だけ双眼鏡で注視していれば分かることですが、それがなくとも現実に起きた出来事をふり返れば明らかです。
もちろん、競馬場での経験を重ねるごとに、池添Jとのコンタクトが深まるごとに、普通に走っているように見えるレースが多くなっていたのも確かです。馬自身のレース慣れも大きいでしょう。
危ういところが多いですが、成長という点を加味すればスミヨンJの技術でカバーできるかもしれません。
でも、一番恐いのは、この馬の一瞬の動きの速さ。
競馬場で他馬が近くにいる中で、急に動かれれば、そのことをあらかじめ察知していない限りどうにもならないでしょう。池添騎手はそのことを十分にわかった上で予測をつけながら乗ってくれていました。急激にラチに寄っていくこともわかった上で、なるべくそうさせないように乗ってくれていました。目で見て明らかに内に寄ったり外に逃げたりしたときだけでなく、ダービーでも3コーナーで内にささりそうな気配を感じて、そうならないように対処してくれました。

問題はスミヨン騎手が短期間(一度の実戦)でそこまで掴んでくれるかどうか。競馬場と調教は違います。テンションも違うし、他馬との兼ね合いもあります。調教だけで本当に大丈夫とはならないでしょう。
だからこそフォア賞を走ることが重要で、フォア賞ではむしろ課題が出るくらいの方がいいと思います(もちろんアクシデントは困りますが)。


スミヨン騎手が凱旋門賞で少しでも良い結果を出してくれることはもちろん大事ですが、何と言っても無事に走り終えれることが一番。油断することなくオルフェーヴルとのコンタクトを深めていって欲しいと思います。オルフェーヴルの気性のことを「個性」と言ってくれているスミヨン騎手なら、手を合わせるたびに理解してくれるだろうとは思っています。が、調教や一度の実戦で全てが出るわけでもないのも確かで、最後まで心配しながらレースを見ることになるでしょう。
騎乗に関しては、あれだけのジョッキー、そして地元を知り尽くしているわけですから、何の要望もありません。

オルフェーヴルの近況は、「馬房の中でもう少し落ち着いてほしいくらいで、おおむね順調に進められている」とのこと。来週末はあくまでもステップレース。本番はまだまだ先。現地のスタッフも何度も往復される池江師も大変だと思います。でもきっと凱旋門賞で一番良い状態になるように考えて下さっていると思います。
とにかく無事にアクシデントなく本番を走り終えてくれるようにと願っています。