オルフェーヴル ダービーに向けて2 ダービー出走馬メンバー構成

レースレベルと折り合いについて、池江師のインタビューを紹介しました。その中で一番大切な要素は「速い流れ」ということでしたが、ダービーは距離からくるスローペースに加え、もう一つ大きな不安要素があります。
一つ言えるのは、今年のダービー、皐月賞からはちょっと想像できないくらいのスローなメンバー構成。
もし一口を離れ、純粋に今年のダービー勝ち馬を検討するとしたら、最大の焦点は
「前に行って折り合えるかどうか」
ということに尽きると思います。

何故か?
まず、皐月賞である程度のペースを演出するであろうと期待された馬達は、カフナ、エイシンオスマンダノンミル、プレイ、ロッカヴェラーノ(実際は控えました)、ベルシャザール
前に行って強いエイシンオスマンや速いペースで先行するカフナ、ダノンミルが抜け、直線早めに先頭に立とうとしたプレイも回避、ロッカヴェラーノは出走することが出来ず。ベルシャザールも前走惨敗かつ2400mとなって乗り方を変えてくるでしょう。
つまり、ある程度の流れを作る馬がほとんど抜けてしまい、皐月賞組で残るのは、「前に行きたくない」差し・追い込み馬がほとんど。


では、新たに加わる馬は?
トライアルを勝ったのは追い込んだウインバリアシオンと差し馬のトーセンレーヴ青葉賞2着のショウナンパルフェ青葉賞では前目に付けましたが、実はかなりの出遅れ癖のある馬でとても速いペースで先行する馬ではありません。NHKマイルカップ2着で賞金を加算したコティリオンも完全な追い込み馬。京都新聞杯勝ち馬のクレスコグランドはこのメンバーの中でいうと先行馬に分類できるかもしれませんが、そんなに前には行かず5番手以下で直線に向くまで我慢するタイプ。2着のユニバーサルバンクは唯一の先行馬といえますが、この馬も速く行きたくはなく、そして早めに先頭に立ちたくないタイプの馬でしょう。

さらに、このダービーで人気になるであろうデボネアも追い込み。ナカヤマナイトトーセンラーも差し馬(ナカヤマナイトは前に行く可能性がありますね。そうすれば勝つかもしれない?)。
そして皐月賞を勝って1番人気となり全体からマークされるのは、差しどころか追い込みの可能性さえあるオルフェーヴル


つまり、ダービーの人気馬で少し前目に付けるのはサダムパテックくらいで、他の人気馬はほぼ全てが差し・追い込み馬。トライアルで加わってきた馬もほとんどが差し・追い込み馬。となると、皐月賞組では、メンバー構成からはサダムパテック断然優位。
あとは、ウィリアムズ騎乗で内々の少し前目で立ち回る可能性のあるトーセンレーヴでしょうか。

もちろんレースは生き物で当日の流れ次第になりますが、少なくともメンバー構成の上では皐月賞よりは断然前有利の構成になりました。というか、前に行く馬はほとんど見あたらず。これだけ行きたくない馬が揃うのも珍しいことでしょう。

有力馬のほとんどが、差したい追い込みたい、しかも2400は初めてでゆっくり入りたい、折り合い重視したい、さらに前でガンガン行く馬は皆無……こういう構成だと、普通に考えれば団子で「あれ? あれ? そのまま?」というレースになる可能性が大です。有力馬のどれかが2〜3番手で先行して、最後それなりの脚でまとめればあっさり勝ってしまいそうな気もしますが、オルフェーヴルにはそれはできません、できるかもしれませんが、まずやらないでしょう。

超スローになって、むしろ瞬発力勝負になれば切れ味に勝る馬が有利になるケースもありますが、それがオルフェーヴルに当てはまる可能性は低いでしょう。何と言っても折り合いが全ての馬。きさらぎ賞での池添ジョッキーの言葉「ギリギリだった」。これは脚がギリギリではなく、「折り合ってレースを成立させるのがギリギリだったと」いう意味です。昨日紹介したように池江師も「レースレベルが上がれば上がるほど良い馬」とかねてから言われている通りです。


以上から、スローになればなるほど本当に苦しくなりますので、トライアルでは先行馬が強い勝ち方をするか、あるいはグランプリボスエイシンオスマンが出走して、本番でもガチンコの流れを作ってくれることを望んでました。
が、しかし、トライアルの結果は上記の通り。権利を取ったのは差しに回りたい馬がほとんどで、距離に加えて速い流れになりようがないメンバー構成。オルフェーヴルを取り巻く環境は大変厳しいものになりました。

来週に続きます。