グランプリボス セントジェームスパレスSとアスコット挑戦

海外海外と簡単にいうけれど、馬も人間も実際は外から見てるほど簡単なことではないでしょう。
とくに、改修工事もあるとはいえ、更地に造成した競馬場ではなく自然の丘を元にして作られた欧州の馬場。
ゲームの世界ではありませんから、そこに挑戦するというのは大変なことです。結果は8着でしたが、その挑戦そのものがとても勇気のある選択だったと思います。
グリーンチャンネルの実況をみていましたが、レース後、矢作さんが落胆した声で話されていました。
その時です。「とんでもありません。グランプリボスのおかげでこうしてロイヤルアスコット開催に触れることができました。ありがとうございました」という司会の方のコメント。
本当にその通りだと思います。
そして、5年前のことを鮮烈に思い出しました。
3頭の壮絶なデッドヒート。悔しさと、翌日になって感じた、競り合いと悔しさを味わえた喜び。
帰りの空港で会った橋口さんの「絶対、来年絶対にもう一度来ますよ」というお言葉と紅潮したお顔。


個人的には出資馬の海外遠征は歓迎しません。そんな中でもし望むとしたら、橋口さんとハーツクライ産駒でのキングジョージ挑戦。でも、海外、とくに馬場も競馬場の造りも根本的に違う欧州の本物の大レースは、パッと行ってパッと勝ってくるというのは無理な話で、行くのであれば前哨戦から計画的にという方針でないと厳しいと思います。
そうなると数ヶ月国内レースで走れないわけで、遠征自体の負担とリスクに加えて、さらに大きな負担になります。

国内のレースもその馬にとっては一生に一度の大切なレース。せっかく日本の馬として産まれたのだから、その国の大きなレースを走るというのは大切なことです。
そんな中で、こうしてリスクと負担を背負って挑戦したグランプリボスとその馬主さん、矢作師には本当に感謝したいと思います。