オルフェーヴル 宝塚記念 勝ってくれました。

本当によく頑張ってくれました。よくこの状態で……もう頭が下がるとしか言えません。
直線、内を付いてくれたところから、これはと思って「オルフェーヴルオルフェーヴルオルフェーヴル」。最後まで叫び続けていたので、もうノドが痛くてしかたありません。皐月賞の後と同じですね。


阪神競馬場オルフェーヴルが走るときは、いつもパドックの前に装鞍所を双眼鏡で覗くことにしています(鞍を付けてないし、発汗が少ないので、より本来の状態を見やすいから)。細江純子さんを発見……。
馬はと目を移すと、すぐに栗毛の輝くような馬体が目に入りました。毛艶も良く尻も厚くて、これならいけるのではないかと喜んでいたら……それは同じステイゴールド産駒のナカヤマナイト。その直後に回ってきたオルフェーヴルは、比べようもないほどのトモの薄さ。肉の塊が張り付いたようになっていた去年の秋とは全く違い、全体も天皇賞ほどではないけどしぼんだ感じ。池江師が7割と言われていたけど、実際に見てもそんなもんだろうなぁという印象。パドックでもどうしちゃったのというほど大人しく(前半しか見てません)、うーん、これはやっぱり厳しいかなと思いながら、それでも奮い立たせて(自分が奮い立っても仕方ありませんが……)レース観戦。
冒頭の通り、内を付いた瞬間からもう叫びまくりました。


今日はとにかく池添騎手が助けてくれました。本当に一昨日希望したとおりの、オルフェーヴルを助ける競馬。
スタートで出遅れなかったのも良かったけど、そのあと辛抱したのも良かった。前走のトラウマで池添騎手が行ってしまって裏目に出るかと心配していましたが、ちゃんとオルフェーヴルを信頼して、折り合い最優先で最後の脚を信じてしかりと溜めてくれました。
そして、1コーナーに入る前にでポケットが出来ましたが、そこでためらわずに内に入ってくれたのを見て、本当に嬉しかった。最後出せるかどうかよりも、今の状態なら少しでもロスなく馬群で折り合って競馬する方が大事。ここが大きなポイントでした。
もう一つのポイントは、3コーナー4コーナーの中間で、他の馬が外へ出して進出しようとしても、一呼吸我慢して、ロスなく内に突っ込んでくれました。これが本当に大きかった。あの最後の脚なら外を回っても勝っていたでしょうが、それだと馬に大きな負担になってしまったことでしょう。
よく、インで我慢して、オルフェーヴルの体調をカバーしてくれました。
装鞍所での裸馬の体の印象は、7分どころかそれ以下のようにも映りましたが、しっかり溜めてロスなく回って、最後の爆発的な脚を引き出してくれました。
まさに皐月賞の時と同じ、池添騎手がオルフェーヴルを助ける騎乗をしてくれました。外一辺倒だと負担がかかるばかり。今後も恐れることなく、是非こういう競馬をして欲しいと思います。


指定席エリアは普段から静かなのですが、ゴール後、大きな拍手。
菊花賞での競馬場一体となったような大拍手とはまた違った感じの暖かい拍手でした。
ゴールしてすぐに家族は目に涙を浮かべていたけど、横を通り過ぎた中年のおじさんは、ひと目をはばからず大泣きされていました。その姿を見て私も感動。

こうして、結果も良くて、復活劇でファンも盛り上がったのは良かったと思います。
それは何より、最悪の状態から何とかレースに出せる状態まで持って行ってくれた厩舎スタッフの懸命の努力のおかげ。そして、池添騎手がオルフェーヴルを助ける騎乗をしてくれたこと。本当にありがたいことです。


でも、それはそれとして、結果論で語れないものもあります。
やはり、これだけの馬を、「秋まで休養させたい」「惨敗するかもしれない」と言いながら出走させるのは悲しいことです。

いつも同じことを言いますが、この馬はもう「何かを証明しなければならない馬」ではないでしょう。
今日も凄いレースでしたが、それがなくても、あの有馬記念は、とんでもないレースでした。あの競馬をしてしまえば強い馬でも勝てません(長年真剣に競馬を見ている人で、あのきつさが分からない人はいないでしょう)。あれを勝った時点で、もう何も証明する必要がないほど、十分に頑張ってくれています。あとは、まわりが信じるだけ。体調を整えて大目標に向かう。そういう馬だと思うから負担のかかる凱旋門賞挑戦も大賛成しました。

もちろん、天皇賞の惨敗のあとは凄く残念でした。そして、今日の快勝のあとは凄く嬉しかった。
でも、天皇賞の惨敗のあとも、今日の快勝のあとも、オルフェーヴルに対する気持ちは全く変わりません。
競馬だから、今後も勝つこともあれば負けることもあるでしょう。でも、一つの結果で揺らがずに、オルフェーヴルを信じて、目標に向かって欲しい。そのためにも、完調に戻してからレースに臨んであげて欲しいと思います。
もう、「惨敗かもしれない」と言われるような状態でレースを迎えるようなことは、避けてあげて欲しいと思います。


この後は無事であれば、凱旋門賞へという話になるでしょう。
ただ、ここを使ってしまった以上、分かりません。もうすでに無理をしてしまいました。ここを使った以上、間隔的にもフォア賞も使って本番まで万全でというのは厳しくなった気がします。でも前哨戦を使わないのなら、行っても仕方ないでしょう。
夢はわかります。本当に夢を追うなら、宝塚を我慢して信じて挑戦がベストであったと思います。どうなるか分かりませんが、宝塚を走った以上、秋は国内でもいいと思います(あくまでも個人的な感想です)。
もちろん、体調が整って挑戦ということであれば応援しますが、何よりもオルフェーヴルの体調を最優先して考えて欲しいと思います。
完調ではないのに、これだけ激走したわけですから、またしばらくは反動が心配になります。どうか何事もなく無事であって欲しいと思います。