オルフェーヴル 凱旋門賞に向けて 〜フォワ賞を経験して Ⅰ

遅くなりましたがフォワ賞について(あくまでも個人的な感想ですので)。
前哨戦のフォワ賞で大事なのは着順や着差ではなく、いかに本番に向けて実のあるレースが出来るかという点でした。
最初に焦点にしていたの三点。http://d.hatena.ne.jp/oumani-hamaru/20120814
オルフェーヴルとスミヨン騎手の手合わせ
オルフェーヴル自身が欧州、ロンシャン競馬場での初めてのレース
オルフェーヴルの体調と一叩き効果
それにプラスして、前哨戦を走ることによって、本番に向けて課題を得ること。良い面だけでなく難しい面も含めて経験してもらえるのが一番だと思っていました。
③の状態面については今後次第ですが、①と②に関しては、良い面・難しい面も含めて経験でき、その意味では実のある前哨戦だったと思います。
ただし、陣営も発言しているように、同じ走りでは本番は難しいでしょう。


池添ジョッキーがいつも繰りかえしてたのは「この馬の課題は折り合い」「永遠の課題は折り合い」。
改めて、それがはっきりとしたレースだと思います。
もちろん、スミヨン騎手は初めてとは思えないほどオルフェーヴルに「競馬」をさせてくれました。初騎乗としては、前哨戦としては、文句なしで本当に大したものだと思います。ただ、いくら押さえ込めたとしても、あの前半の行きたがり方では本番は厳しく、それ故に、やはり誰が乗っても、他の馬以上にこの馬の課題は「気性と折り合い」であることが、はっきりしたレースだと思います。

何回も繰りかえしてきたように、この馬の並はずれた勝負根性と危うい気性は表裏一体。いったんスイッチが入ってしまうとどうにもなりません(見学でも感じました)。同時に、この気性があるからこそ走っている部分が大きいと思います。
しかし、やはり現実のレースは精神論ではないわけで、前半掛かりどおしで無駄な消耗があっては、本番では難しいでしょう。
確かに、スミヨン騎手は、前半1000m、行きたがるオルフェーヴルをあの手この手で抑え込んで、何とかまともなレースの形にしてくれました。しかし本番では、抑え込んで「まともなレースの形」になるだけでは、とても直線での最後の争いに加われないと思います。いかにして前半を無駄な消耗をふせいで乗り切るか、少しでも力みなく走らせられるか。
フォワ賞はスタートからの直線1000m、何度も行きたがって走っていました。スタートから300m〜400mまでならまだしも、最後の坂を登り切るまで行きたがっていました。ジョッキーがあの手この手で抑え込んでレースの形にはしてくれましたが、その間も、口を割って前に行こうとしたり、後方まで下がったり、首を上げて窮屈に力んで走ったり、脚の回転も何度か小脚になり、無駄な脚を使っていました。その繰り返し。いくらスローでも、この走りと動きではどうしても体力を消耗してしまいます。前哨戦だからそれでも何とかなりましたが、本番の凱旋門賞は少しでも掛かったりロスをした馬は、ほぼ勝ち負けに加われないといわれるレース。本番では、いかに早めになだめて、リラックスして走れる場面を作れるか。
師も言うように、この馬は2000mくらいのハイペースで伸び伸び走らせてあげたい馬ですが、菊花賞では3000mを乗り切ってくれました。それは池添騎手の操縦に加え、ペースが速くなったのが幸いしたのもありますが、道中、馬群の中に入ってからはハミが抜ける場面が長く続いたことも大きかったでしょう。
さすがに、本番では前哨戦ほどのスローにはならないと思います。ただ元々が前半我慢比べになる向こうのレース。決してガチンコの流れまでにはならないでしょう。そこをどう乗り切るか。枠順の助けも必要だと思いますが、スミヨン騎手もオルフェーヴルが行きたがることは十分に理解してくれたと思いますので、それを踏まえて対処してくれると思います。
そういう意味でも、「経験すること」の意義が大きかった前哨戦だったと思います。


あとはオルフェーヴルの体調がどこまで上向くか。フォワ賞も良い仕上がりでしたが、実質二本の追い切りで、約3ヶ月ぶりの競馬。久々を使われてさらに上向くことを計算に入れられての前哨戦だったと思います。
だからといって、定石通り上向くとは限りませんが、上積みがなければどうにもならないでしょうから、きっと上向いてくれると信じています。その上昇度と、折り合い、当日の流れ、他馬の動向、色んな要素が噛み合って初めて勝負させてもらえる舞台だと思います。
最高の陣営・チームですから、最高の環境で本番に送り出してくれると思います。ただ、生身の馬ですからゲームのように計算通りに、思い通りにいかないことも多いでしょう。
後はただ、反動が出ないように、疲れが出ないように、とにかく無事に10月7日を迎えてくれることを願うしかありません。

他の点はまた今度。